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スタジオ・イカルス住宅:コラム

現在の日本風...住宅

 今、私達が生活している住宅は、はたして日本の建築なんだろうか...というのが、今日のお話です。

 木造建築に日本瓦...一見すると、昔からの日本建築と同じように見えますが、実は全然違うんです。

 まず、構造の考え方が違います。昔の木造建築は、本当の意味での軸組構造(マッチの軸を組み合わせた構造)でしたが、今は、筋交(すじかい)なるものが付いていて、柱と柱の間を、一つの壁とし、耐震性に配慮しています。そういう意味では、壁式木造のツーバイフォーやコンクリートの建築物に近い考え方といえます。

 また、環境に関する考え方も違います。昔の日本建築には、気密性はなく、空気が自由に内外を行き来することで、環境をコントロールしていました。奈良東大寺の正倉院は、校倉造りという、ログハウスのような作り方をしています。雨の日や湿気の多い日は、木材が水分を吸って膨張し、木材間の隙間を塞いで、湿気の侵入を防ぎます。そして晴れると、木材が水分を放出して収縮し、木材間の隙間を開いて、乾いた空気を内に入れる仕組みになっています。天然のエアコンというわけです。おかげで、内部の収蔵物は、1000年もの間、腐敗せずに保管できたというわけです。

 このように日本建築の特徴の一つは、材質の「呼吸」にあります。室を構成する木材・畳・土壁は、どれも呼吸をし、湿気を外部に放出しているわけです。

 ところで、現在の木造建築は、断熱性を高めるため、気密化をはかっています。室内外間での空気のやり取りは、ほとんどありません。そのかわり、室内の環境は、エアコンや換気扇といった機械でコントロールしようというものです。

 最近、畳にダニがわくといって問題視されていますが、あれは、室内から吸った湿気を放出することができないからです。昔の木造建築では、畳下の板を隙間を開けて敷いてあり、そこから湿気は逃げていたのです。

 そういう意味において、昔からの和室」を現代の住宅に作ることは、できないでしょう。

 「従然草」の中に、「住まいは、夏をもって宗(むね)とし...」と、夏の暑さ対策を主眼とした家づくりを薦めていますが、現代の住宅は、いったい何が「宗」なんでしょうか...いっぱいありそうですね...それらを全て解決するためには、結局、機械の力を頼るしかなく...エネルギーやエコロジー・ヒートアイランド...といった様々な問題をひき起こしていくわけです。

[98.12.15大塚裕昌, studio icals]


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