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スタジオ・イカルス住宅:コラム

リフォーム総論

 リフォームのきっかけは、多くの場合、生活の変化によるものが多いのですが、それにもいろいろなタイプがあります。例えば、

  1. 子供が大きくなったため、子供部屋が必要となったとか、両親と住むようになったり、子供夫婦と住むようになったため、部屋や設備が必要になった。といった物理的要求によるも の。
  2. 社会的地位が高くなったり、社会的活動をするためにお客を招く機会が多くなり、そういった条件に合った空間が必要になった。といった社会的要求によるもの。
  3. 趣味を持ったので、その作業をするための空間が必要となったとか、生活に余裕ができたので、自分の好みを生かした住居にしたい。といった個人的要求によるもの。
  4. 設備が古くなったり、住居にいたみが目立ちはじめたので、メンテナンスが必要となったとか、新しい設備と交換することで、効率が良くなるとか、老人介護のための設備が必要になった。といった管理的要求によるもの

 などに分類ができると思います。それぞれのタイプによって、重視される課題も、設計に至るまでのプロセスも異なります。状況によっては、これらのタイプがいろいろな割合でブレンドされていることもあり、また家族の構成員それぞれで、このブレンド状態が異なることもあります。こういった場合には、設計図を描く前に、今回のリフォームで何を重視するのか、優先順位を決める等、家族内での目的意識の統一を計ることが必要となります。リフォームの場合、新築と異なり、物理的にも、経済的にも、工事できる部分が限定されるので、「あれもこれも全て」という具合にはいきません。最初の段階で、リフォームの目的を明確にしておかないと、どっちつかずのものが出来上がってしまいます。

 また、これからは、環境問題やエネルギー問題、また地域社会の国際化やボランティアといった、社会的視野に立った住居のあり方が問われるようになっていきます。リフォームという、家庭にとっての一大イベントが、こういった社会的動向を考えるきっかけになるような気もします。

 そして、もっと大事なことは、将来を見据えた視点を持つことです。その住居に住みはじめてから、リフォームに至るまでのプロセスを振り返ることで、リフォーム後の生活をイメージすることができますし、逆に将来の理想の姿を前提に、リフォームを位置付けていくこともできます。いずれにしても、現状を満足させるだけのリフォームにするのではなく、将来的な、家族の発展や個人の成長を促す形でのリフォームが望ましいと思います。

 社会全般の価値観の多様化・国際化によって、家庭の拠点となる住居は、単に雨露をしのぐシェルターとしての機能や、睡眠・食事・衛生といった基本的生活活動の場として機能だけでなく、個人の精神的基盤となり、家族の楽しみをわかち、仲間を集い合い、国際社会に対しても開かれた場であることが求められるようになってきました。

 このように、リフォームは、住居とは何か、家庭とは何か、家族とは何か、あるいは個人とは何か、といった問題を考える契機となるものです。そしてそこで話し合われ、求められた結果が、図面となり、最後に住居という形になっていくわけです。

 ただ家を広く、綺麗にするということではなく、様々な視点から、リフォームを考えていくことが、きっと素晴らしい住居をつくる原点になると思います。

[大塚裕昌, studio icals]


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2001年1月 名古屋市民ギャラリー展示


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