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スタジオ・イカルス街づくり:人にやさしい街づくり

車いす体験レポート
8月3日(土)目的地:大須観音

 車椅子の操縦は、意外と難しい。なにしろ、少しでも傾斜があると、タイヤがそちらにとられてしまうので、そんな時は思ったように進めない。巾員4mとか6mの、歩道のない道路は、端のほうの傾斜が急で、車輪を片方だけ回転させて、丁度いいかな...という感じで、これがちゃんとした歩道のある幹線道路に出ると、状況が劇的によくなるのか...というとそういうわけでもない。ちゃんと雨の流れる方向へ、車椅子も流れていこうとする。段差解消のために付けられた斜路も、なかなかの曲者で、斜路に対して角度を付けて横切ろうとすると、車輪があらぬ方向へ持っていかれる。交差点などの複雑な斜面では、予想も付きにくく苦戦することになる。大須のアーケードの歩行者専用で、道路の真ん中に敷かれた滑り止めのカーペットの上を堂々と進んだときが、一番具合がよかった。

 地下鉄の利用は、事前にエレベーターの位置が分かっていないと苦労しそうだ。私は、あまり苦労をしたくなかったので、御器所の駅でしつこいぐらい駅員さんに聞いたのだが、とても親切で誠実に対応してくれる。こちらは、本当は足が動くのだから、妙に恐縮した気持ちになる。こういったことは、途中のコンビにでも経験していて、店員さんどころか、お客さんにまで扉を開けてもらった時には、「車椅子にとってこの扉はあけやすいのか」を実践しようとしていた私は、ちょっと困った顔をしていたに違いない。その点、大須のレストランの店員さんは、そういったことには無関心で、こちらが気を使うことはなかった。無関心というのは、不親切ということではなくて、車椅子のスペースを空けるためにテキパキと椅子を片付けたりして、やるべきこと(やってほしいこと?)はやっている。ただ、そんなに特別扱をしないで、「そちらがよければ..」的な、なんか手慣れた感じを受けたりもするのだ。車椅子4台の御一行(+介助4人)に対して、普通に対応できるのは、なかなか素敵なことだと思う。
 食事はバイキング形式のものを選択し、介助者役の人に料理を持ってきてもらうことにした。これはどんな料理がテーブルに並ぶのか、不安と期待の入り交じった数分を経験するのだが、彼女はよく気が付き、3度に分けて料理を運んでくれた。まず全体的にいろいろちりばめて、それから主食の意向を聞いてテーブルへ運び、食べ終わったら、追加とデザートの希望を...という具合で、このやり方は、とてもよいと思った。こうしたよく気が付く人とパートナーを組めたことに感謝したい。言うまでもなく、パートナーによっては、こちらの希望を遠慮なく言えなかったり、親切の押し売りを感じたりする可能性もあったわけで、これは、車椅子で出かけるときの重要なポイントだと思う。そのことは、一緒に行動したグループにもいえる。半日心地よく過ごせたのは、このチームのよい雰囲気に負うところが大きい。

 一足早くチームを離れることになった私は、帰り道、大須観音の境内を横切りながら、敷石に砂利が転がり、どこにも斜路がないことを再確認した。私の愛すべき7人の仲間たちは、その後どう乗り越えたのか心配である。

 最後になってしまったが、最初に与えられた課題、「人の動きや視線」であるが、地下鉄の車内で多少感じることがあったものの、全体を通して気になるほどのものではなかった。それより、先にも書いたが、「親切」を感じる事のほうが多かった。御器所の駅には、他にも車椅子関係の施設があったりして、手慣れた対応を感じ、上前津の駅では、エレベーターが設置されて間もない感じで、みんな張り切っている様子もうかがえた。ただ、こちらとしては、そんなに特別なことを期待しているわけではないので、もう少し気楽に対応してもらっても...とは感じた。しかし、こんなことが言えるのは、素晴しいチームに恵まれたおかげで、「一人で30分で大須観音へ行きなさい」などといわれたら、あっというまに絶望的な気持ちになって、周りの視線に敏感に反応していると思う。


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[大塚裕昌, studio icals]

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