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人間と環境 INDEX

 

人間と環境

人間と自然

草野由紀子

 

    目次

 

  • 我が国の自然・森
  • 自分の生まれ育った環境
  • 川・池・山の春夏秋冬
  • 自然の中から生まれた遊び
  • 未来の子供達へ
  • 参考文献

 

    我が国の自然・森

 我が国ではかつて、国土のはとんどすべてが多層群落の森林で覆われていた。縄文文化の花咲いた夏緑広葉樹林帯における狩琳採集文化時代には、確かに人間は自然の生態系システムの枠の中で自然と共存してきたはずである。
 その後、2千年ほど前に中国大陸から稲作が導入されるに及び、河川沿いや港岸沿いの低地は、ならしてあぜを作り水をためて水田耕作が行われるようになった。

 自然には人間の目に相当するような美しく魅力的であっても指1本で駄目になってしまうような弱い箇所がある。
 その弱い自然のある所に神社や寺院・基地を作って、「この森を切ったらバチが当たる」「この水源池へ汚物を捨てたら崇りがある」という具合にして、弱い自然を残してきた。
だから今でも、神社の森・お寺の森がある.
 日本にはそういった自然が残されている。だから私たち日本人は世界中・地球上の陸地のすべてが森林で覆われているような錯覚にとらわれる。地球の3分の1が、陸地である。しかし、その中で森林を養える土地は、陸地のせいぜい25%〜30%にすぎない。
 だからこそ、森(自然)を守っていかなければいけないのである。
 一度失った自然の再生には何百年もの年月がかかる。いや、二度ともとに戻らないかもしれない。
 自然環境の破壊は人間の経済行為の結果である.高度の経済成長によって、それが恐ろしいはどの勢いで進んでいる。
 次の世代まで間違いなく人類が生き延びるためには、緑の本質、すなわち自然の秩序にそった森林あるいは自然に近い生態系のシステムが、機能しえる森的緑の維持が基本になる。

 

    自分の生まれ育った環境

 

小さい頃
よく遊んだ場所
動物・昆虫・その他
草野由紀子
 宮崎県・北浦町
川・山・海・
神社・田んぼ・
草むら
犬・ウサギ・鳥・魚・カエル・
ダンゴムシ・クワガタ・
カブトムシ・カナブン・アリ・
カマキリ・クモ・イモリ・
おたまじゃくし・カニ・セミ・
ザリガニ・バッタ・チョウチョ その他
Aさん(愛知県・小牧市) 神社・空き地 犬・バッタ・ザリガニ
Bさん(愛知県・碧南市) 林・田んぼ 野良猫・犬・バッタ・コオロギ・
ザリガニ・メダカ・蛇
Cさん(静岡・浜松) 陸橋・用水路・
田んぼ・神社
野良猫・犬・鳩・フナ・
ザリガニ・アメンボウ・地グモ
Dくん(岐阜県・中津川) 公園・学校・
友達の家
カブトムシ・クワガタ・アリ・
カニ・カエル・ザリガニ・
アメンボウ
Eくん(名古屋市) 道路・学童・神社
アリ
Fさん(北海道/浜松
    /沖縄県)
雪山・坂道 犬・猫
Gくん(沖縄 小学校 カブトムシ・セミ・ミミズ・
カナブン・クワガタ・カエル・
カマキリ・犬・ウサギ
Hさん(沖縄 海・山 クラゲ・ニワトリ・馬・ウサギ・
犬・猫・ナマコ・カナブン・
セミ・カマキリ・カエル・
カブトムシ・幼虫・イモリ・蜂
Iさん(愛知・新城町) 家の中・神社 鳥・犬・おたまじゃくし・セミ・
カブトムシ
Jさん(静岡県) 庭・山・川 ウサギ・ザリガニ・カマキリ・
アメンボウ・セミ・カブトムシ
Kさん(鹿児島県) 道路・公園 犬・アライグマ・ゴキブリ・
カミキリムシ
Lさん(静岡県) 神社 犬・クワガタ・ザリガニ
Mさん(宮崎県・延岡市) 砂場・公園・道路
犬・猫・トカゲ・バッタ・ミミズ
Nくん(愛知県・御津市) 駅・山 インコ・犬・猫・クワガタ・
カブトムシ

 育った環境は違っても、みんな同じような場所で遊び、同じような動物・昆虫と触れ合っている。
 でもやっぱり、都会で育った人より、自然あふれる場で育った人の方が、虫の種類や花の種類をよく知っている。

 

    川 池 山の春夏枕冬

春の植物
 暗く寒い冬の日が終り、再び春がやってくる。
昼間の時間が長くなり、気温も暖かくなってい
く。植物にとっては、日の当たるところを求める
場所取り競争の始まりです。

  サジオモドカ →
  色あせた茎は、去年1mも茎を伸ばして咲
  いた花の名残り。
  球根状の茎帝から、新しい葉が伸びてい
  る。

春の動物
 春の太陽のぬくもりが水中に広がると、動物たちは水草の間や水底の泥
の中から出てきて活動し始める。

同じ日にふ化した
オタマジャクシ

水温が低い池 水温が高い池



 カエルの卵・・・紳を保護するゼリーが回り
         を包む。

 卵を産む・・・早くも1月には、おとなのカエ
ルたちが池に集まってきて、つがいの相手をみ
つけ、産抑の準備を始める。
 3月ごろ、雌は3000個もの紳を産み、雌の背
中におんぶした雄が、その卵を受精させる。
 卵を包んでいるゼリー状の物質が水を吸収し
て膨脹し、その全体の体積は、すぐに雌の体の
何倍もの大きさになる。
 卵が産まれて2〜3週間でふ化し、オタマジャ
クシが誕生する。水温が高ければ高いほど、発育は速くなる。


 モンシロチョウ・・・キャベツ畑でよくみかける。

 

夏の植物
 日光は生物の活動の原動力となる究壌のエネルギー頻であり、真にはそれが大量に伏給される。
 真夏の池はヒヨドリバナの仲間のくすんだピンクから、オトギソソウやキンボウゲの仲間の黄色、さらにはエゾミソハギの紫やヤナギランの赤まで、あらゆる色合いの花が咲き乱れる。
 カラムシ(ポンポングサ)もこの時期である。

夏の動物
 初夏は、池にすむ動物の数が増えたり、体が大きくなっていく季蹄である。
 幼いオタマジャクシ、昆虫の幼虫、水中の巻き貝などの群れは、この季簿に豊かに茂る植物を食べて育つ。
 真夏の動物たちの成長と門出のときである。春から初夏に見られた、騒然とした新しい生命のラッシュは静まりつつある。
 この年に卵から生まれ生き残った若い動物たちは、数は滅ったが成長を続け、食料を蓄え、やがて来る寒く短い日々に備える。
 動物たちが一年の中で最も活動しているこの時期によく、川に魚や海老を捕りにいったり、早起きをして栗林にクワガタやカブトムシを捕りにいっていた。
 子秩の頃、最も好きだった季節である。

ノコギリクワガタ
 大あごの内側の歯が、ノコギリのように鈍い。
夏にあらわれ、広葉樹の樹液に集まる。
北海道から九州、朝鮮半島に分布。
 幼虫はおもに‘くちの木’の中にすみ、その木
を食べて育っ。中には土の中に潜り、植物の根を
食べる種類もいる。
成虫は、夜に活動し、クヌギやブナなどの樹液に
集まります。昼間は、木の根元や葉の影でじっとしている。


小さい頃、クワガタを捕りにいったとき一番捕れた種類である。最も好きな種類。

 

秋の森・池
 空を横切る太陽の高さが段々低くな
り、昼間の時間も短くなってくる。
 池や森の生命活動は低下し、冬に備
え始める。
 赤とんぼ・シオカラトンボ・アブラムシ・カメムシの仲間などが、よくみかけられる。

冬の池
 動物は一般に、氷そのものの中に閉じ込められさえしなければ、極寒の冬
を生きていくことができる。
 魚やある種の水生昆虫、軟体動物やぜん虫頬は、
氷の中に閉じ込められることをさけるため、池の最
も深いところに移動する。
 水温が下がっていくと、彼等の体温も下がり、必要とするエネルギーも
減っていくため、ほとんど何も食べずに生きていくことができる。


冬の森
 雑木林は、寒い冬の間、虫たちが身を隠しておくにはとてもよい場所で
す。
 落ち葉や枯れ草、くち木やかれ木、土の中など色々なところに潜り込ん
で春が来るのをまっている。

 

    自然の中から生まれた遊び

 小学生の頃、草道を歩いて帰っていた。
幼い頓に、祖母や母そして姉から教えてもらった花草遊びをしなが
ら・・・。
 生活の周辺から野原や田んぼが少なくなって
いくにしたがい、子供の日常から草花遊びが姿
を消しつつある。

  • ナズナの葉をぜんぶ裂いて、耳元でならすと「パチパチ」と音がした。
  • タンポポの茎は空洞で、裂いて水につけると外側に反り返る性質があるので、それを利用して水車を作っ
    た。
  • 笹で船を造り、田んぼや川に浮かべていた。
  • カラムシを手のひらにのせてたたくと、「ボン」と音がした。
    (小さい頃、その葉を‘ポンポングサ’と呼んでいた)
  • シロツメクサやレンゲソウで、花輪を作った。
  • 学校の中庭に構えてあったヒイラギの葉を、指ではさみ「フー」と
    息を吹き掛ける、クルクルと回った。
  • 春には、「サド」を食べながら帰った。

 休みの日などは、よくおさななじみと野原や山に遊びにいっていた。そこで見つけた珍しい花や草、虫をつかまえて騒いでいた。
 植物と風土文化の研究家でもある浅見泰子さんは、こういっている。
「子供達は草花を枯らしたり、虫を摘まえて死なせながら次第に生命の重みを感じ、成長していくものではないでしょうか。虫一匹捕まえることもなく成長した人が、自然をいっくしむとは思えない。人と自然との真の触れ合いは、‘殺生’を重ねながら生まれてくるのではないでしょうか」
 自然の中で育った私にとっては緑のない環境は考えられない。
 今の子伏達(都会で生まれ育った子供達)は、本当に貴重な時間を無駄にしているように思える。もっと大人たちが子供のことを考え、自然と触れ合う時間を作るべきだと思う。
 人工的に作られた自然ではなく、真の自然と・・・。
 TVゲームの浸透した時代に生まれてきた子供達でも、自然の中で遊んでいればきっと、新しいものを発見し、自分たちで色々な遊びを見つけるだろう。

忙しい日本にとっては無理な話しなのだろうか?

 

    未来の子供達へ

 自然の中で育った私は、緑のない環境というものは考えられない。
 生まれてくる子供達・育っていく子供達には、単に学校や社会教育として教えるだけでは不十分だと思う。子供達に自然を理解させる最良の方法は、家の中や教室で教えるだけでなく、現実にまだ残されている地域の自然に触れさせることだと思う。子供の頃、とくに幼児期から自然を見る目を持った、自然の姿を体得する感性・知性にあふれた両親・兄柿たちと共に、できるだけ子供達が目で見て、手でふれ、匂いをかいだりして、具体的に自然にふれる機会を作り出すことが大切である。
 私が幼い頃に体験したことは、とても章重なものだと患う。
 あの町に生まれたからこそできたこと。
 自然から教えてもらったことは数えきれないほどある。
 怪我をしたとき、血を止めるために使う葉・触ったらかぶれてしまう木・生のままでも食べることのできる木の実や草など。
 自然の中で生きていくためには良い面だけではなく、怖い自然の面も知っていかなくてはいけない。
 そのすべてを知ってこそ、真の自然が分かるのだろう。
 人間が一生かかったとしても、自然すべてを理解することはできないだろう。
 しかし、知る努力を怠ってはいけない。


  小さい頃に遊んだあの野原・森・川・・・。
  消えてしまうことのないように祈っていたい。
  いっかまた、あの野原へ子供を連れて遊びに行きたい。

 

    参考文献

いろんな場所の虫さがし
 文・写真  藤丸 篤夫
 発行所・  福音館書店
 1997年4月30日 発行
 定価    1,500円
講談社 動物園鑑 ウォンバット1
     昆虫・両生類・爬虫類
 監修   今島 実   矢島 栓  松井 たかじ
 発行所   株式会社 講談社
 1997年6月5日 第一刷発行
 定価    1,700円
森はいのち エコロジーと生存権
 著者    宮脇 昭
 発行者   江草 忠敢
 発行所   株式会社 有斐閣
 1987年8月20日 初版第一刷発行
 1992年1月30日 初版第六倒発行
 定価    1,730円
検証 森の時代 多摩の自然とくらし
 発行者   清水 定
 発行所   株式会社 けやき出版
 編集    アサヒタウンズ
 1990年3月31日 第一刷発行
ビジエアル博物館  第6巻 池と川の動植物
 発行者   今田 連
 発行所   同朋舎出版
 1990年7月20日 第一刷発行
 定価    3,500円